有価証券報告書には虚偽記載があってもいいんだぜ?

ふと何気なく目にしたニュースに

 

金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪」

 

で再逮捕なんてなのがあって、このあたりの法律って知らん人多いんだろうなぁと思ったので記事にしてみます。

 

まぁ勿論、前提として虚偽記載があってはならないというのは間違いではない。

 

ただし、この際虚偽記載の内容が問題となる。

 

そもそも金融商品取締法というのは、投資家保護のための法律である。株主保護のためでも、一般人保護のためでもないのである。

 

では、投資家保護という観点からみた場合、どういう内容の虚偽記載が虚偽記載として該当するのかという点が一つのテーマである。

 

結論から言えば

 

投資の意思決定に重要な影響を及ぼす恐れがあるかどうかで判断される

 

つまり、金融商品取締法違反だと言い切るには、重大な影響を及ぼすと断定できなければならなし、逮捕するともなれば、ただ虚偽記載を行ったかどうかではなく、投資家の意思決定にとって重要な要因であるであることを説明しなければならないはずである。

 

取締役の報酬はガバナンスの問題である以上、重要な影響がある可能性は十分にある

 

ただ、報道を見ている限り、金額だとか手法についての説明がなされるばかりであり、さらには、それを報酬の過少申告だなんて見出しで一般人感覚にまで落とし込み、金額ばかり強調し、どうです?悪いことしてるでしょ?みたいなやり方は詐欺としか言いようがない。

 

つまり、あくまでも今回の件に関していえば、投資家の判断に影響を与えるのはガバナンス上の問題であって、金額云々の資産状況の問題ではない(資産状況から見れば軽微)のですよ。

 

まぁ騙される方も騙される方なので、騙されないためにも読んでおいてね!ってことでこの記事を書いているわけなんだけども。。

 

そしてさらに、今回監査法人の責任は問われていない。

 

ちなみに監査法人についてもよく知らない人がいると思うので、補足しておくが

 

会社が適正な有価証券報告書を提出することについて、会社と共に責任を負っている

 

つまり、連帯責任なんですよ。

 

監査法人にも責任を負わせることによって、監査をしっかりしてもらおうぜ!っていう話なんですよ。

 

一応監査法人側も、問題点は認識していて指摘した上で会社から回答を受け取っているらしいが。。。

 

だが、「問題ないって言われたので問題なしとしました!」とはならない。確認という監査手続きそのものが正しかったのかということも議論されなければならないだろう。

 

勿論回答には納得していなかったにしても、有価証券報告書の全体としての判断に影響を与えないと判断したはずである。

 

つまり、日産と同じくらい監査法人に対しても批判が向けられて当然であるのに、そうは見えないという点にも違和感を覚える。

 

億単位の金額に気を取られ、ゴーン氏個人にばかり目が行きがちだが、日産っていう会社がダメだったね!っていうのが露見したと考えた方がいい。

 

そもそものガバナンスがダメだったんですよ。

 

ゴーン氏を悪人に祭り上げることにより、その膿を出して、日産は再生します!みたいなスローガンを掲げているみたいだけど、

 

そもそもお前ら自身がダメだったんじゃん!

 

ダメなやつが今更なに言ってんの?

 

っていう点にも目を向けた方がいい。

 

暴力団の組織がさ、

「ワンマンだった会長クビにしたんでうちの組はもう健全です!」

 

なんて言ったって誰も信じないでしょ?

 

 

司法取引だの虚偽表示だの聞きなれない漢字の多さについつい思考停止状態になりがちだが、気をつけて頂きたく。