ギャンブル勝ち組の人から学んだ勝負メソッド その2
以前、人は過去に行った意思決定の影響を受け、次の意思決定を容易に間違いうる。と、ハーバード大学ビジネススクールの実験結果を簡単に述べた。今回はその詳細を説明すると共に、なぜ、この事実を知りながらも、やはり人は間違えるのかという点で解説する。(参考までに:ギャンブル勝ち組の人から学んだ勝負メソッド)
まず実験の内容は以下の通りである。
AとB二つのプランを選択するだけというシンプルな物を用意。ただし、二つのチームにわけ、一方のチームではまず、最初にAとBを選ばせる。その上で、Xという事象が起きたと伝える。その後、AとBを再び選び直すチャンスを与える。
また、もう一方のチームには最初には選ばせず、AとBの二つのプランがあると伝え、Xが起きたとも伝える。その上で、AとBを選ばせる。
素直に考えれば、選び直すチャンスは与えられているので、最初のチームと次のチームとで最終的な選択に差はないであろうことが伺える。
さらに、どちらのプランが優位なのかというがはっきりしなくても、実験の結果が曖昧になってしまうので、その点も考慮されている。
ちなみに、最初にAとBを選ばせた最初のチームの選択は 8 割がプランA、2 割がプランBを選択。また、Xという事象が起きたことを伝えた上で選択させたチームは、8 割がBプラン、2 割がAプランを選択。
つまり、事象Xが起きる前ではAが有利、起きた後ではBが有利となるような選択肢となっている。
では、ここで最初のチームに着目する。結果としてXが起きることとなるわけだが、それを知らされずに、Aという選択を行い、その後Xを知る。そして常識的に考えれば、Xの後にはBが有利になるはずなので、このチームはBという選択肢に乗り換えるというのが正解なはずだ。
だが、結果はそうはならなかった。
Bの方が有利であるにも関わらず、Bに変更することをせずAを選択し続けたのだ。
これはあくまでも、経営上の意思決定の失敗を研究したものであるが、ビジネスのシーンと同様、ギャンブルにおいてもやはり、連続した意思決定を行う必要性がある。
その際、当然だが、環境は途中で変わりうる。
いつXが起きるかはわからない。そしていつでも起こりうる。
そう。
この変化に敏感に対応することができるかが鍵になる。
と、結論付けたくなる。
が、まだ早い!
再び実験結果に戻ろう。この実験において変化に対応し、AからBへとプランの変更をできた人がどの程度の割合存在したかというデータに注目する。
なんと、変更できた人の割合は 2 割程度だったのだ。
最初からBを選んでいた人もあわてても、結果としてBを選べた人は半数にも満たなかったのだ。
それもハーバードの優秀な学生がである。
意思決定の訓練をされているであろう人でさえ間違える。つまりこれを訓練によって乗り越えるというのはかなりの難関だということだ。
もちろん、これを行っている人も中に入るだろう。
ただ、私が見てきた勝ち組ギャンブラーは、Xが起きたと見るや、撤退する。
つまりその後正しく判断できないということを正しく認識している。
それでも結果としてみればBの方が有利なわけだし、学習して経験を積めば見極められるであろうということを考える人は多いだろう。
それはなぜか
例えば、大雨の増水した河川の様子を見に行く人がいる。
流されちゃいましたってニュースを聞いて、あぁ馬鹿な奴がいるもんだ。
と、感想を漏らす。
これも認識の誤りを認識していない。
ちなみにこれは後知恵バイアスという認知バイアスの一種によるものだが、人が意思決定を誤る大きな要因とされている。
後から知ればさも当然と人は感じてしまうのだ。
どっかの電力会社の津波対策も然りだ。
さらに、正常性バイアスというのも存在する。
自分は大丈夫だと思うのだ。
流されちゃった人は大丈夫って思って行った。
流されようと思って行ったわけじゃないということだ。
死にに行くようなもんだと後から人は思うが、当事者はそうは思っていない。
自己の理解が浅いもののことを馬鹿と言うのなら、こういう批判をする人こそ馬鹿である。
ギャンブルで勝つということは、常に自己のそういった特性に目を光らせる必要がある。そしてそれらの特性は人としての習性のようなものなので、抗うことは叶わない。
習性に逆らうのではなく、それを理解し認めてあげればそれだけで良い。
まぁ、これがまた難しいんですけどね(汗
認知バイアスについてはいずれまた別の記事で詳しく書くかも知れません。
Good Luck !